ワンソース マルチユース システム (第1回 ワンソース マルチユースの概要)

ワンソース マルチユースとは

ワンソース マルチユースとは、ひとつのソースデータを、複数の用途に使用するという概念です。

ドキュメントの世界では、ひとつのソースデータから、複数のメディア用の文書データを生成することを指します。

ワンソース マルチユースを実現するための仕組みを、ワンソース マルチユースシステムと呼びます。

ワンソース マルチユース システムの概念図を下に示します。

ワンソース マルチユース システムの概念図

ワンソース マルチユース システムのメリット

  1. コンテンツの改訂/翻訳を一元管理できます。
    • 改訂時に、ターゲット文書の形式に依らず同じ変更が適用されていることが、システム的に保証されます。
    • ソース文書を翻訳するだけで、すべての形式のターゲット文書を一括翻訳できます。
  2. 新しい形式のターゲット文書への対応が容易です。
    • 変換プログラムを追加するだけで、新しい形式のターゲット文書に対応できます。
    • ターゲット文書の形式が増えても、改訂/翻訳時の作業量は変わりません。
  3. コンテンツ記述ルールを統一できます。
    • ルールに合わない書き方をするとターゲット文書に変換できないため、誰もがルールを守るようになります。
    • XMLスキーマ対応の編集ツールを使用すると、入力時にルールチェックが行われます。
  4. レイアウトを統一でき、作業効率が向上します。
    • レイアウトは、変換プログラムによって自動的に行われます。
    • コンテンツ作成者は、レイアウトを気にせず、内容に集中できます。

ワンソース マルチユース システムのデメリット

  1. 恣意的なレイアウト変更はできません。
    • ターゲット文書はルールに従って自動生成されるため、文書単位やページ単位のレイアウト調整はできません。
    • 詳細なレイアウトルールを設定することで、見開き優先のページ配分や、自動的な行間調整等は可能です。
  2. ターゲット文書に対して加えた変更をソース文書に反映することはできません。
    • ターゲット文書を手動で変更した場合、ソース文書の改訂時に再度変更する必要があります。

ワンソース マルチユース システムの要件

ワンソース マルチユースを実現するには、次のふたつのルールを、明確に定める必要があります。

  • ソース文書の構造と記述ルール
  • ターゲット文書ごとのレイアウトルール

文書構造の例

レイアウトルール(仕様書)の例