ワンソース マルチユース システム (第3回 電子書籍と印刷用のフォーマット)

電子書籍とEPUB

電子書籍とは

電子書籍とは、タブレット等の電子デバイスを使って読むことができる書籍です。

電子書籍は、電子書籍リーダーを使って、ページをめくる感覚で読むことができます。

文字の大きさを自由に設定でき、設定した文字の大きさとデバイスの画面サイズに合わせて、ページ区切りを自動的に調整します。

最新の電子書籍リーダーは、画像を含むコンテンツを表示することができます。

多くの電子書籍は、インターネットを通じてデバイスにダウンロードします。

EPUBとは

EPUBは電子書籍の標準フォーマットです。

国際電子出版フォーラム(IDPF)が制定し、ISO規格になっています。

EPUBの最新バージョンは3.2です。

メジャーバージョン3は、EPUB3とも呼ばれます。

EPUB3は、一般的で標準化された技術だけを用いた規格となっています。

大雑把に言うと、HTML5で記述したコンテンツをZIP圧縮したものです。

XSL-FO

XSL-FOは、組版情報を含むコンテンツをXML形式で記述するための規格です。

EPUBが電子書籍用の規格であるのに対し、XSL-FOは紙の本を印刷するための規格です。

XSL-FOで書かれたXMLを専用ツールで処理することで、印刷やPDFの生成を行うことができます。

将来、DTPツールやワードプロセッサーがXSL-FOを出力できるようになり、製本用の共通フォーマットになることが期待されます。

XSL-FOの構成

XSL-FOは、次の3種類の情報で構成されています。

ページマスター

ページのレイアウトや背景等を定義します。

左右ページの独立設定や、複数用紙サイズの混在も可能です。

ページマスターは複数定義可能です。(表紙用、目次用、本文用など。)

フロー

コンテンツとスタイルを記述します。

HTMLと似た構造を持ちます。(要素名は異なります。)

HTML/CSSと異なり、コンテンツとスタイルの分離は行いません。

ページシーケンス (ページ並び)

ページマスターとフローを結び付けます。

フロー内のコンテンツがページ内に収まるようにページ分割を行い、ページイメージが生成されます。

XSL-FOの処理(組版)ツール

Antenna House XSL Formatter (有償)

アンテナハウス株式会社が開発しています。

日本独特の慣習に合わせた拡張機能があります。

FOP (無償)

Apache FOPプロジェクトが開発している、オープンソースのツールです。